セブンイレブンで発売されているオリジナルパンには、日本全国の店舗で買える定番商品と特定の地域でしか買えない地域限定商品の2種類がある。リバティーフーズは、この地域限定商品を数多く手がけてきたことで、現在のような“商品開発力に長けたデイリーメーカー”という地位を築き上げたとも言える。地域限定商品を手がけることになった経緯を、鳥山雅庸社長はこう語る。
「ウチが最初に開発したのは、確か栃木産のイチゴを使ったメロンパンでした。これは“地産地消の商品”というコンセプトで作ったものなのですが、自分たちの“地元”に注目してみると、意外とパンの原材料にも使える農産物が豊富なことに気づいたのです」
地元素材を使ったパンは、地域のお客様にとってはうれしいものであるし、農産物を作っている地元の農家の方にも喜ばれる。そこでリバティーフーズでは、地域限定商品の開発に本格的に乗り出した。
「その後は地元・茨城産のメロンやサツマイモなどを使ってパンを作ったのですが、次にブルーベリーを使ったパンを作ってみたくなった。それも、国産のブルーベリーで。それで協力してくれる農家さんを探してみたのですが、価格や出荷量の面で我々の条件に合うところがなかなか見つからなかったのです」
国産のブルーベリーを使ったパンの開発を半ばあきらめかけていた鳥山社長だったが、あるとき奇跡とも言える出来事が起こった。
「以前にサツマイモの加工でお世話になったある業者さんがいたのですが、ブルーベリーの話をしたところ“いい人知ってるよ”とすばらしい農園の方を紹介していただけました。その方に会って話をすると、互いに意気投合。即断即決で提供が決定したのです」
こうして国産のブルーベリーを使ったパンは、現実のものとなった。
「一時は無理だと思っていた企画だけに、これは奇跡的でした。しかし、私は人と人とのつながりを大切にし、それを少しでも仕事に生かそうと思っています。それと、私たちが地元の農産物を使ってオリジナルのパンを作っていることは地域でも評判になっていた。今では、それらの相乗効果が奇跡を呼び込んだのだと思っています」